積替え保管とは

産業廃棄物の収集運搬には、積替保管をする場合としない場合があります。

積替保管とは、集荷した廃棄物を別の車に積み替えて出荷するまでの間一時保管することをいい、その保管施設を積替保管施設といいます。

この積替保管施設には、産業廃棄物の一般的な保管基準に加えて、独自の基準が設けられています。

積替保管の許可は、単独では取得できません。収集運搬業許可に付随するかたちで許可されます。

また、この積替保管施設ありの許可を取る場合、一番問題なのは、その施設の周辺区域の関係住民に説明し合意を得なければならないことです。

具体的には、周辺区域(施設の敷地境界から50m以内の区域)の関係住民の合意形成が得られないと、許可申請の手続きができません。

では、この合意形成の手続きはどうすればよいのかというと、鳥取県の場合、「鳥取県廃棄物処理施設の設置に係る手続きの適正化及び紛争の予防、調整等に関する条例」で定めています。

具体的にはこちらの手引きを参照してください。

手続きの手引き

おそらく想像がつくと思いますが、いま住民の生活環境に対する意識は高くなっていますし、住民パワーも強くなっています。合意形成までに手間と時間と労力を要することを覚悟しておかなければなりません。

 

積替え保管の基準

そもそも一般廃棄物にせよ産業廃棄物にせよ、収集運搬基準では廃棄物の保管は原則として禁止されています。しかし積替え保管だけが認められているのです。

産業廃棄物の積替え保管の基準は、以下のようになっています。

① 運搬先が定められていること。

② 適切に保管できる量であること。

1日平均排出量の7倍以内であること。

③ 性状に変化のないうちに搬出すること。

また、保管場所については、次のような措置を講じることとなっています。

① 周囲に囲いをすること。

② 積替えのための保管場所の表示版を掲示すること。

③ 保管に必要な措置を講じること

・飛散、流出、地下浸透、悪臭防止・・・必要な措置

・汚水対策・・・必要な排水溝等の設置、底面不浸透性材料を用いる

・屋外最大積上げ高さ制限

また、建設工事現場以外の場所(300㎡以上)で建設工事から出る産業廃棄物を保管する場合は、事前に都道府県知事に届出が必要となっています。ただし、非常災害などやむを得ない場合は、保管をした日から14日以内の届出となっています。

積替保管施設での保管

産業廃棄物を収集運搬する過程で、これを一定期間留め置く行為は産業廃棄物の保管に当たりますが、では、どの程度の期間留め置くと産業廃棄物の保管になるのかというと、

まず、産業廃棄物を収集運搬してきた車両から次の車両への積替え、運搬が連続して行われない限り保管を伴っていることになります。

ですので、処分先の受入れ終了時刻が過ぎていて搬入するのを諦めて、一旦自社に持ち帰って翌日改めて処分先に搬入することも保管に当たります。

要するに、産業廃棄物が排出されそれを収集し、処分先まで直接運搬しないかぎり保管を伴ったことになるのです。

 

積替え保管施設に持ち込まれた産業廃棄物は、一般的には手選別の後、一時保管されます。なぜなら、さまざまな排出事業者の廃棄物が混ざってしまい、排出時とは形を変えてしまうおそれがあるからです。

また、積替保管施設では廃棄物の選別のほか有価物の抜き取りが可能です。実際、有価物の抜き取りが行われると、積替保管施設に搬入される廃棄物の量と、積替保管施設から搬出される廃棄物の量は違ってきます。

そうなると、廃棄物の発生から最終処分に至る一連の工程の把握が極めて困難になります。この点において、積替保管施設は排出事業者にとっては取扱いが難しい施設です。

ともあれ、産業廃棄物の再資源化を促進するためには、廃棄物の広域移動化は欠かせませんし、物流効率化の点でも積替保管施設は有用な施設といえます。