会社が合併した場合、すでに取っている産業廃棄物収集運搬業の許可はどうなるのかという疑問があると思います。

ところで、会社の合併には、「吸収合併」「新設合併」とがあります。

「吸収合併」というのは、存続するひとつの会社にその他の会社が消滅して吸収されるかたちをいいます。一方、「新設合併」というのは、それぞれの会社が解散して新しい会社を設立することをいいます。

1.吸収合併の場合

例えば、A株式会社とB有限会社が合併するとします。そして、許可はB有限会社が持っているとします。

この場合、B有限会社がA株式会社に吸収されて消滅するならば、B有限会社の所持している許可は失効します。よって存続するA株式会社は新たに許可を取らなければいけなくなります。

しかし存続するA株式会社が許可を持っている場合は、許可がそのまま生きます。ただし、役員の変更等の変更事項があればその変更届を出さなければいけません。役員が欠格条項に該当すれば許可は受けられません。

また、廃棄物の品目を追加する場合と積替え保管にする場合には、届出で済みません。変更許可申請をしなければいけませんんので注意してください。

次に、B有限会社が存続してA株式会社が吸収されて消滅するとします。この場合、B有限会社が特例有限会社のままでは合併できません。

2006年に新会社法が施行されてから有限会社はなくなりました。現在、従来通り有限会社の名称を続けているのは特例であり、そのため特例有限会社といいます。有限会社の名前は使っていますが、現在は株式会社の一形態とみなされています。

話を戻すと、B有限会社がA株式会社を吸収して合併しようとするならば、まずB有限会社をB株式会社に登記しなければいけません。そうしてからA株式会社と合併します。

これでめでたく合併が出来た場合、許可はどうなるのかというと、消滅するA株式会社が許可を持っていたとするとB株式会社は新たに許可を取らなければいけません。

しかしB株式会社がB有限会社の頃から持っていたならば、その許可は生きます。ただし、会社の名称が有限会社から株式会社になっていますから名称や会社所在地等の変更事項の届が必要になります。

 

2.新設合併の場合

新設合併の場合は、会社がそれぞれ解散し消滅しますので、いずれかの会社が許可を持っていても、その許可は失効しますので、新設された会社は改めて許可をとらなければいけません。この場合、許可に関して言えばもったいないですね。

 

以上が原則的な考え方ですが、施設の承継の問題等もあり、ケースバイ・ケースで判断しなければならないので事前に許可行政庁に相談する必要があります。