産業廃棄物を排出事業者以外の者が運搬する場合は、原則、運搬する者は収集運搬の許可を取得していなければなりません。

しかし、例外として許可が要らない場合があります。それは、建設廃棄物の場合、

建設廃棄物が、請負金額500万円以下の軽微な維持修繕工事に伴い生ずるものである場合には、その工事の下請負人は収集運搬の許可を受けずにこの廃棄物の運搬を自ら行うことができます。

ということです。

ただし、以下のことに注意が必要です。

1.下請負人が運搬することを、書面による請負契約で定めておくことが必要です。

2.マニフェストの交付は、排出事業者である元請業者がしなければなりません。ただし、下請負人を経由して処理業者に交付することは差し支えありません。

この場合、下請負人は、マニフェストの写しの送付、保存等の義務は負いません。あくまで元請業者に義務があります。

また、解体工事、新築工事、増築工事の場合は、請負金額に関係なく許可が必要です。

 

さらに、運搬する廃棄物も以下のとおり決められています。

1.次のいずれかに該当する工事に伴い生ずる廃棄物であること。

① 解体工事、新築工事又は増築工事以外の建設工事(維持修繕工事)であって、その請負代金の額が500万円以下の工事

② 引き渡しがされた建築物その他の工作物の瑕疵の補修工事であって、その請負代金相当額が500万円以下の工事

2.特別管理廃棄物以外の廃棄物であること。

3.1回当たりに運搬される量について、巻尺その他の測定器具を用いて簡易な方法により、1立方メートル以下であることが測定できるもの又は1立方メートル以下であることが明確な運搬容器を用いて運搬するものであること。

4.当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は隣接する都道府県の区域内に存し、元請業者が所有権又は使用する権原を有する施設(積替え又は保管の場所を含む。)に運搬されるものであること。

5.当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないものであること。

なお、4の元請業者が使用する権原を有する施設には次のようなものが該当します。

  • 元請業者が第三者から賃借している施設
  • 下請負人又は中間処理業者から賃借している施設
  • 元請業者と廃棄物の処理の委託契約をした廃棄物処理業者の事業の用に供する施設(積替え又は保管の場所を含む。)

このように、下請負人が収集運搬の許可がなくても運搬できる建設廃棄物及び利用できる施設は限られていますので注意が必要です。

運搬様式が必要

また、下請負人が上記の建設廃棄物を運搬する際には、「運搬様式」を備え付けなければなりません。

建設工事において、下請負人が産業廃棄物収集運搬業の許可なく建設廃棄物を運搬することができるのは、建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより自ら運搬を行う場合に限られます。

つまり、下請負人が運搬を行うことについて、個別の建設工事における請負契約で定めることが必要です。

逆に言えば、個々の建設工事の請負契約書に、下請負人が建設廃棄物を運搬することが書かれてあれば、許可がなくても運搬できるということです。

ただし、建設工事が基本契約書に基づくなどの場合には、この請負契約の基本契約書の締結時点では運搬する廃棄物を特定するのが困難です。基本契約書というのは、個々の建設工事の請負契約書ではないからです。

こういう場合はどうすればいいのかというと、請負契約上は個別の建設工事ごとに次の事項を記載した別紙を交わす旨を記載し、個別の建設工事ごとに別紙を交わせばいいのです。

この別紙とは、次の環境省の課長通知の最後に付いている別記様式「運搬様式」のことです。

運搬様式

運搬様式が必要な場合

下請負人が収集運搬業の許可がなくても建設廃棄物を運搬できるのは、

・廃棄物がその条件を満たしていること

・個別の建設工事の請負契約に下請負人が自ら運搬することが定められていること

が必要です。

しかし、建設工事が基本契約書に基づくものであるなど、この基本契約書の締結時点では運搬する廃棄物の特定が困難な場合があると思います。

このような場合にどうするかというと、

1.請負契約書に個別の建設工事ごとに定められた「運搬様式」を交わすことを記載しておく。

2.「運搬様式」を排出事業者(元請業者)と下請負人との間で交わす。

となっています。

建設廃棄物を運搬するには、どんな場合でも収集運搬の許可が必要と誤解している事業者の方がいるかもしれませんが、この点理解しておいてくださいね。